雨のリフレイン
「桜木さん…ありがとうございます。
…まずは、話し合ってみます」
「うん。それがいい。柊子さんが選んだヤツだ。きっと上手くいくさ」


桜木の笑顔が柊子の背中を押してくれる。
子供は生きる希望。
柊子にとっても希望。母にとっても希望。洸平の希望にもなれたらいい。そう期待しても、いいのかもしれない。
洸平にも、父親になる権利があるのだから。父親として生きる道を選ぶかは、彼が決めること。


柊子に笑顔が戻った。迷いを振り切ったその笑顔は、元気いっぱいのいつもの柊子のものだ。


「あ、そうだ。
いぶきさんはわかるんですけど、一条拓人さんは、なぜご一緒にいらしたんですか?」
「一条のボンは、いぶきのコレだよ」

桜木はニヤリと笑って右手の親指を立てた。

「あら、まぁ。じゃあ、これからいぶきさんが桜木さんとアメリカに行ったら…」
「まぁ、どうなるか。見守っていくさ」

ヤクザの一人娘と、一条の御曹司。それだけでも色々障害はありそうだが、しかも、遠距離恋愛となれば、高校生同士の恋もなかなか難しそうだと、柊子は思った。







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