雨のリフレイン
「相手には、言ったのか?」
「…いえ。どう伝えたらいいのか、悩んでいて。あの人も、子供は要らないと…」
「なるほどな。オレみたいなもんか」

桜木は、うんうんとうなづいて腕を組む。

「まぁ、いつまでも隠せるもんじゃないしな。
オレも最初はビックリしたけどよぉ。今となりゃ心底、女には感謝してる。こんなオレを父親にしてくれた。生きる希望を残してくれたんだ。
いぶきの笑顔に、アイツを思い出す。小さな仕草にオレと同じクセを見つけては、例えようもなく幸せを感じている。生きていて良かったと毎日思うよ。
相手の男がどう思うかはわからないが、父親になる選択肢は与えてやるべきだ。その上で、柊子さん、あなたが選んだ道をオレは応援する。
金の心配があるなら、足長おじさんになってもいい。困ったら連絡をくれ」


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