雨のリフレイン
疲れた。精神的にも肉体的にも、限界だ。

鈴枝の登場で母が倒れ、いつものように光英大学病院に入院した。病状はそれほど悪くなく、すぐに退院出来るはずだった。

だが退院当日に、一条家から水上鈴枝の件を依頼されたという弁護士が現れた。鈴枝から柊子と信子を守ってくれるという弁護士の指示は、しばらく、この地を離れなさいとのことだった。

いつのまにか自宅マンションには盗聴器が仕掛けられており、しかも常に見張られていることがわかったからだ。


恐ろしかった。
鈴枝という女の執念は、柊子を追い詰めていく。


だが、病床の母とお腹の赤ちゃんを守れるのは、自分しかいない。

弁護士と相談して柊子は、母の看護を理由に仕事も辞めることにした。
だが、山田師長は休職扱いにしてくれた。柊子に戻る場所をのこしてくれた。余命宣告を受けている母と、残された時間を少しでも一緒に過ごしてほしいと。落ち着いたら、必ず戻って来なさいと背中を押してくれた。


なるべく遠くに転院したほうがいいとの弁護士のアドバイスに柊子が提案したのは、名古屋の三浦香織が院長を務める総合病院だった。
あとは、弁護士が手を回してくれた。
鈴枝の目をくらますために、光英大学病院から光英大学附属横浜新医療センターに転院として、実際には名古屋に。
そして、今。
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