雨のリフレイン
「で。
そんな、貼り付けたみたいな笑い顔作って。
前に言ったよな。
その笑顔は気持ち悪いと。
何があった?」
「…」


だから、水上に会いたくなかった。
水上は、人の感情に敏感で、柊子の作り笑いなんてすぐに見抜いてしまう。


「おかしいな。
水上先生、ほとんど私の顔見てなかったのに…
お医者様って、すごいなぁ。
でも、大丈夫。カウンセリングだって受けてるし、看護師さんや先生がいつも近くにいてくれて。
私、少しずつ元気になってるよ」


柊子は、もらった缶を両手で包んだ。
冷たくて、気持ちがいい。


「俺の目を見てもう一度言って見ろ」
「…」


柊子は、見つめていた缶から、ゆっくりと水上へ視線をうつした。


「少しずつ…元気に…」


水上の射るような視線が柊子の本心に刺さる。
彼の前で繕うような嘘は、無駄だと改めて感じた。


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