雨のリフレイン
何?


何が、起きた、の?



「ト、トラックが。反対車線のトラックが突っ込んで来たんだ!!」


誰かの叫び声がした。



柊子は、ゆっくりと目を開けて、そして息を飲む。



バスは、道路上で止まっているようだ。

最初、柊子が座ろうとしていた運転手のすぐ後ろの席は酷くひしゃげて、割れたガラスの破片が辺りに散らばっている。
また、柊子の前の席、パンフレットが置かれていた席には事故の勢いで飛んできたのだろう、ガラスだけでなく金属のかけらが突き刺さっていた。
柊子は、幸い前の座席の背もたれに守られた。


あの席に座っていたらと思うと、恐怖が襲ってきた。


咄嗟に腹部を守って身体を丸めたけれど、衝撃は強く、身体中きしむように痛んだ。


痛いと感じるなら、私は生きている。
赤ちゃんは?大丈夫だよね?


全身に感じる痛み。
懸命に、お腹を優しくさする。わずかに胎動を感じてホッとした。






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