雨のリフレイン

守りたい

入院することになった部屋の窓から、横浜の街が見えた。
いつしか雨は止み、街はしっとりと濡れている。

山口瑠璃子に声をかけられてから、不思議なくらい痛みから解放された。
薬が効いたのかもしれない。だが、あの言葉に救われたのが一番な気がしていた。


「具合はどうだい?」


その時、両手にビニール袋を持って洸平がやって来た。


「おかげさまで、痛みも引いて、頭もしっかりしてきました」
「まだ、無理はするな。
これ、入院に必要な歯ブラシとか。売店のおばちゃんおススメの物をとりあえず用意した」

洸平と話をしたら、すぐに帰るつもりだった。
それが、こんなことになるなんて思ってもみなかった。母にも、連絡しておかないと。
でも、何て言ったらいいんだろう。ショックを受けて何かあれば大変だ。


「ありがとうございます。
あの…母と連絡を取りたいんですけど…」
「信子さんなら、大丈夫。翔太が連絡してくれた。団長たちがついててくれるから、大丈夫。いっときパニック状態だったようだが、君が無事と知って落ち着いたようだ。
実は、テレビでバス事故のニュースが流れたみたいなんだ。柊子に電話しても繋がらないって、俺に電話があった。
全部、話したよ。隠しても心配を大きくさせるだけだから」
「そう…
お母さんに、心配かけちゃったな」


妊娠を誰より喜んで応援してくれた母。
赤ちゃんの無事が伝わっていたとしても、おそらく、そのショックは計り知れない。


すべてが、裏目に出てしまった。
これで母の具合が悪化してしまったら、どうしよう。


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