雨のリフレイン
その笑顔で久しぶりに心がキュンとときめいた。何があっても、やっぱり洸平のことが好き。自分の気持ちに気づかされる。

今なら言える気がした。
前へ進む為に、聞いて欲しいことを。
ずっと、心に秘めていた不安と不満を。


「洸平さん。聞いてほしいことがあります。
あの日。洸平さんが、私があなたを信じていないって告げたあの日。
なぜ、婚姻関係に期限を設けようとするのか、聞きましたよね。
その答えを、私の気持ちを聞いてもらえますか?」

「あぁ」

洸平は窓を背に、柊子の方を向く。
柊子は、ごくんと一度息をのんで気持ちを整えると、ゆっくり口を開いた。


「『絶対的な安心』が欲しかったんです。期限を設ければ少なくともその間は、安心してあなたの妻でいてもいいと思っていた。私は、あなたの気持ちがわからなくてずっと不安だった。
あなたは信じてないって言ったけど、無理ですよ。何を信じたらいいんですか?洸平さんは一度も自分の気持ちを言葉にしてくれなかった。
はっきり言ってくれれば、その言葉を信じます。

私は、ずっと洸平さんが好きです。好きだから、結婚しました。

…洸平さんは?」


言った。ついに、ハッキリと言葉にした。
心臓は飛び出しそうなほど高鳴っている。身震いすらしている。
だが、柊子は、じっと洸平の言葉を待った。
彼の答えがこれからの二人の関係を決定付けるたずだから。


「…俺、柊子に甘えてたんだな。君がいつも俺を好きだと、無上の愛情を示してくれることに甘えていたんだ。
ごめんな。君がそんなに不安で苦しんでることに気づかなかった」



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