雨のリフレイン
「全く、素直じゃないよなぁ。
柊子ちゃん、いい加減あんなヤツのこと、やめない?」
「やめなーい。
私たち親子の恩人だもん。
それに、翔太先生も水上先生のこと、大好きでしょ?」


翔太と柊子が笑いながら話していると、帰り支度を済ませた水上が現れた。



「早いよ、洸平。
もっと柊子ちゃんと喋っていたかったのに」
「まだ、仕事残ってるだろ?じゃあな、翔太」
「翔太先生、お疲れ様です」


歩き出す水上の後ろを柊子が慌てて追いかける。


「ったく、じれったいよなぁ」


そんな二人の背中をみつめながら、翔太はため息をつく。

柊子に見せてやりたい。

桜木と二人きりで話をしていると教えた時の、引きつった水上の顔を。


「大好きなくせに。
かっこつけて意地はってると、横からかっさらわれるぞ、洸平」


親友の性格を知りすぎているが故の心配だった。

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