雨のリフレイン

突きつけられた現実

『病状が悪化している。
もう、看護師の仕事は無理だ』



母の生き甲斐の一つであった仕事が、もう出来ない。

いつかはこの宣告がされることはわかっていた。
それでも、母と一緒に働ける日を夢見て頑張ってきた柊子にとって、例えようもなくショックだった。


それに。
現実問題として、母の収入がなくなれば、日々の生活費、母の治療費、そして柊子の学費、それらの支払いをどうしていったらいいのか。
父の残してくれた財産も、度重なる母の治療費でだいぶ目減りしている。
学費は、奨学金制度を利用している。だが、このまま病状が悪化すれば、母の看病で学校に行く時間が取れない。


看護師の勉強は、後からでも出来るけれど、母の命は待ってくれないから。


「大丈夫か。君まで倒れそうだ」


ポンと水上が柊子の肩をたたく。


「私は、大丈夫。
水上先生、お休みのところ、本当にありがとうございました。あとは、大丈夫です」


柊子は、目の前の水上に深々と頭を下げた。


「俺のことは気にするな。
それより、そんなに切羽詰まった顔して。
君まで倒れそうだぞ。しっかりするんだ」
「しっかりしてます。
全部、わかってる。いつかこうなることは想定していたから
私、夢を見る時間、終わりました。
…水上先生、色々ありがとうございました」

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