雨のリフレイン
どんなに好きでも、どんなに側にいても、あの人との心の距離は、どこまでも遠い。水上先生が私に抱いている感情は、同情だとわかっている。
私の看護師としての未来に投資してくれているだけで、恋愛感情はないことはわかってる。
だから、この結婚は多分一年で終わる。水上柊子という名前は、きっと幻で終わる。
わかってるけど。

辛いな。
淋しいな。
全て納得した上での結婚なのに…



涙が頬を伝う。
嗚咽が漏れる。



全て、雨に溶けてしまえ。
こんな想い、全て流れてしまえ。



柊子は、バックから取り出したハンカチでグシグシと涙を拭って、マンションへと入って行く。


鍵を開けて、ドアを開ける。
玄関に、大きな靴が一足ある。

ーー水上先生、まだお風呂に入っているのかな。

リビングからも明かりが見えた。


「ただいま…」


そっとリビングに入るが、返事はない。
『おかえり』を期待していた柊子は、ちょっとガッカリした。


「水上先生?」


< 76 / 302 >

この作品をシェア

pagetop