雨のリフレイン
「お母さん、無理強いしないの。
私は嫌よ。呼び出されて真夜中にバタバタされるなんて。
今、勉強ものすごく忙しいから、睡眠時間だけでも確保したいし」
「まぁ、冷たいじゃないの、柊子。医者の妻になったんだから、それくらい…」
「医者の妻の前に、看護学生だもん。
お母さんが一番わかってるでしょ?卒業までの忙しさ」
「まぁ、それを言われると…仕方ないわ。
ごめんなさいね、洸平くん、冷たい娘で。
休みの時は、なるべくこっちにいてね。ご飯もなるべく一緒に食べましょう」
「勿論です。信子さんのご飯、楽しみにしてますから。
じゃ、すみません、俺、病院に戻ります」


柊子に母の荷物を渡すと、水上は慌ただしく出て行こうとする。


「ありがとうね、洸平くん。
ほら、柊子、お見送りして来なさい」

母に背中を押されて、柊子も慌てて水上を追った。


< 86 / 302 >

この作品をシェア

pagetop