雨のリフレイン
柊子の言葉に、水上はきょとんとした。
その後、口元を隠しながら、クスクスと笑う。

「さすが、現役女子高生。
反抗期かな?なるほどね。
学校の事でも、友達の事でもなんでもいい。
なんなら、カレシの話でもいい。
話しかけてあげて。きっと、聞こえてるから」


笑みを浮かべているけど、水上の目はやけに悲しそうで。


柊子は、悟った。
もしかしたら、父は、もう目を覚まさないのではないかと。


「カレシは、いない。私、モテないし。
学校は、真面目に通ってるよ。
まぁ、頭はあんまり良くないから、大学はどうしようかなぁ。悩んでる。
お父さんは、お母さんみたいに看護師はどうかと勧めるけどさ。
向いてないと思うんだよね、私」

柊子は、にへっと笑いを浮かべながら、とりとめのない話をする。


いつもなら、柊子が話しかけると穏やかな笑みを浮かべて話を聞いてくれる父。
だが、今は静かに瞼をとじて、無反応だ。

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