恋叶うオフィス
いけない! 見すぎた……。

私の不躾な視線に気付いた彼女と目が合ってしまい、慌てて前に並ぶ人の背中を見る。彼女は私を見て、小首を傾げていた。

どうか、武藤には気付かれませんように……。

小声でオーダーし、受け取ったコーヒーを持って、二階席へと階段をのぼった。まだそこにいるのか確認したくても、怖くて確認できなかった。

窓際の席に座って、外を見る。やっぱり武藤にはああいうかわいらしい人が似合うのかも。座っていたから明確ではないけど、平均的な身長でスタイルも良さそうだった。

自分とは違うかわいらしい人に昔から憧れていた。そういう人が武藤の目の前にいて、打ちのめされた気分になる。コーヒーがいつもより苦く感じた。

自分が武藤の一番近くにいるつもりでいたけど、勝手な思い込みだった……。

かわいい彼女がいるなら、教えてくれたらいいのに。
あの彼女に看病もしてもらったら、よかったのに。

大事な彼女だから、移さないようにしたのかな。

私は武藤の大事な友だちであって、彼女ではない。
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