恋叶うオフィス
帰ろうとする私に里香が狼狽えて、腕を掴む。


「柚希、ごめん! 言い過ぎた。武藤くんがどんな人でも柚希の気持ちは変わらないとわかってるよ。だから、がんばって」


私のことを思っているから敢えて厳しく言っていた。これも里香の優しさだと頭ではわかっていても、一度下がったテンションは簡単に上がらない。

帰るのを引き留められたけど、里香の彼が来る時間が近くなっていたから、やはりそのまま帰ることにする。

里香には「ありがとう」とだけ言った。応援してもらっても、もうがんばっても無駄になる。でも、彼女のことを確認だけしようかな。

ハッキリと付き合っていると言われたら、ちゃんとこの片想いを終わりにして、前を向いていけるかもしれない。

やるべきことは、告白ではなくて確認。確認のほうが難なく出来そうに思えた。


先週と違う意気込みで出勤。やはり週の始めは身が引き締まる。今日の午後は武藤と打ち合わせに出掛ける予定となっている。

打ち合わせを終えた帰りに聞こうと、通勤途中の電車内でイメージトレーニングした。よし、午後までは武藤のことを一切考えないで、業務に集中だ。
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