恋叶うオフィス
百々子ちゃんよりもついでになるから、断れなかった。


「結構重いよ。こんなの持って、転ぶと大変だから、誰か男に頼めばいいのに」

「大丈夫だよ。私、力持ちだから」

「こんなところで力持ち自慢しなくていいから。本当に渡瀬はがんばり屋だよね」


武藤は目を細めて笑った。そんな笑顔を向けられたら、いつもは舞い上がるけど、今の私は違う。

いろんな思いが入り交じって、どんな顔をしたらいいのかわからなくなった。

俯き加減に歩きながら、倉庫室の鍵を開けて、武藤が入れるようにドアを押さえる。


「ありがとう」

「ううん、こっちこそありがとう。あ、そこに置いてくれる? 中身確認して、整理するから」

「おう」


箱を壁際に置いた武藤は私が持っていた物を受け取ってから、「あ」となにかを思い出したように私を見た。


「一昨日の昼過ぎ、公園通りのコーヒーショップにいなかった?」

「えっ、あ……えっと……」


思いがけなく聞かれて、動揺する。これでは肯定しているようなものだ。武藤はフッと笑う。


「やっぱり、あれ渡瀬だったんだ」
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