恋叶うオフィス
その時突然、ドアがノックされた。私たちは揃って、ドアへ顔を向ける。「はい」と私が返事をすると、開かれたドアから販売課の人が顔を覗かせた。


「武藤課長は、こちらにいますか? あ、いた。もう会議が始まりますよ」

「ごめん! すぐ行く。……渡瀬、またあとで」

「うん。手伝ってくれて、ありがとう」


廊下を早歩きする武藤をぼんやりと見送ってから、ドアを閉めた。とりあえず、片付けよう……。

続きは午後に聞けばいい。

箱の中身をゆっくり片付けて、無造作に置かれていた別の箱もいくつか整理する。武藤のことを考えないようにとしたけど、無理だった。

やっぱりちゃんと聞かないと吹っ切ることも出来ない……。

打ち合わせの時間は午後三時。武藤も私も別の案件での打ち合わせを終えてから、ホテルムーンパークのロビーで合流する。

私は開発部の藤田くんから預かったタオルのサンプル品が入った袋を持っていた。

藤田くんもまた別の案件の打ち合わせがあって、日時が被ってしまったので、こちらの打ち合わせは欠席。
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