恋叶うオフィス
「だから、結婚しても変わらなくていいんだって」

「結婚……?」

「ん、まあ、いずれの話だし、まだ結婚すると決まってはないけどさ……規程をわかっていたほうが覚悟できるかと思ってね」

「ああ、うん、そうだよね。いずれの話でも、そうだね」


私の呆けた反応に武藤は少々狼狽えた。そんな武藤に私はもっと狼狽えた。もう結婚まで考えてくれているとは、全然思っていなかった。


「どうぞ」

「お邪魔します」

今夜から三日間、彼のお母さんはお付き合いしている男性のところに行っているそうだ。週末はだいたい向こうの家で過ごしているらしい。

広海さんたちが結婚してから、お母さんたちは入籍するそうだ。離婚によって、父親に引き取られた広海さんとは籍が違うから、先に入籍しても問題ないのだけれど、お母さんなりのけじめだという。


「お母さんが結婚したら、武藤はひとりでこの家に住むの?」

「ここは長く住んでいて、古くもなっているから、引き払う。俺は別のところを借りて住むよ」
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