恋叶うオフィス
私たちのキスを知っているのは、里香だけだ。たこ焼き器を返しに行ったとき、明らかに様子のおかしい私を里香が心配した。
キスされたけど、謝られたと話したら、里香は「男らしくない」と憤慨した。確かに男らしくはないかな……。
オフィスでテキパキと働く武藤は男らしいけどね……って、また『けど』だ。
つまり、私は落ち込みながらも武藤の態度を少なからず腹立たしく思っているんだろうな……。誰にも相談できないから、自分分析をしてしまう。
気にしないと言わないで、ハッキリさせたら良かったのかも。そうしたら、変なギクシャクもしないで、スッキリしていられたかもしれないのに。
「はあーーーー」と長いため息をついていると、突然肩を叩かれた。
「よお、渡瀬」
「えっ、わ、宇野くん。ビックリした。お疲れさま」
「ちょっと話できる?」
「あ、うん。あっち行こうか」
開発部の宇野伸弥(うのしんや)くんは私と武藤の同期である。180センチある武藤よりも五センチ背が高く、ガッシリ体型だからとにかく大きいという印象の男だ。
営業部の給湯室で淹れたコーヒーを持って、空いているミーティングルームに入る。
キスされたけど、謝られたと話したら、里香は「男らしくない」と憤慨した。確かに男らしくはないかな……。
オフィスでテキパキと働く武藤は男らしいけどね……って、また『けど』だ。
つまり、私は落ち込みながらも武藤の態度を少なからず腹立たしく思っているんだろうな……。誰にも相談できないから、自分分析をしてしまう。
気にしないと言わないで、ハッキリさせたら良かったのかも。そうしたら、変なギクシャクもしないで、スッキリしていられたかもしれないのに。
「はあーーーー」と長いため息をついていると、突然肩を叩かれた。
「よお、渡瀬」
「えっ、わ、宇野くん。ビックリした。お疲れさま」
「ちょっと話できる?」
「あ、うん。あっち行こうか」
開発部の宇野伸弥(うのしんや)くんは私と武藤の同期である。180センチある武藤よりも五センチ背が高く、ガッシリ体型だからとにかく大きいという印象の男だ。
営業部の給湯室で淹れたコーヒーを持って、空いているミーティングルームに入る。