恋叶うオフィス
「で、武藤。なに?」

「さっき、藤田くんからメールが来た。サンプル品、二週間後にできるらしいから、月末に打ち合わせをしましょうと」

「月末ね、わかった。そのメール、私にも届いているのかな?」

「ああ、俺と渡瀬宛になってた」


私にも届いているメールだったら、わざわざここで言うほどのことではないし、相談にもならないことだ。

相談と言ったのは、私を引き留める口実だったようだけど、その理由はなんだろう?


「武藤、なにか言いたいことがあるなら何でもいいから言ってね。宇野くんがいたから、言いにくいことでも」


話が終わったなら業務に戻りたいところだが、武藤の様子が少しおかしい。なにかを考えているようで、テーブルの一点に視線を落としていた。


「あー、いや、特には。あ、でも……宇野のことをどうするか決まったら、返事する前に教えて」

「えっ、武藤に? どうして?」

「渡瀬を大事に……友達として、誰よりも大事に思っているから、大切なことはまず教えてほしい」

「えっ?」


友達として、大事にしてるからまず教えてって……教えなくてはいけないこと?
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