曼珠沙華が遺した言葉
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105779して
「……何だろう」
悠梨は、訳が分からないというように首を傾げた。
「分からない。だけど、今回の件と関係がありそうだ。捜査に協力してくれないかな?」
新藤刑事の言葉に、皆は驚く。警察から、捜査に協力してくれ、と言われたのは初めてのことだ。皆が驚くのも無理はない。
「……まだ、他殺なのか自殺なのかハッキリとしていないし、旦那の紫安さんのアリバイがないし……お願い!」
「……分かりました。私が行きます」
悠梨が微笑むと、颯介は「俺も行きます!」と立ち上がる。
「颯介さんだけずるい!僕も行きます!」
智樹が立ち上がった刹那、颯介は嫌そうな顔を見せた。
「……分かった。三人とも行っておいで」
武がそう言って微笑むと、智樹は「ありがとうございます!」と嬉しそうに笑った。颯介は、何故こいつまで……と言いたげに、智樹を見つめる。
新藤刑事と武は、その様子を見て苦笑することしか出来なかった。
新藤刑事に連れられ、芽依の自宅へとやって来た。黄色いテープが貼られ、数人の警察が家を行ったり来たりしている。
「……あ、新藤刑事……」
泣きそうな顔で、芽依の旦那である紫安が呟いた。