曼珠沙華が遺した言葉
新藤刑事の言葉を遮り、この法医学研究所の所長である久保 武(くぼ たける)が顔を出す。

彼岸花は有毒植物で、球根部分にアルカロイドを多く含んでいる。摂取すると吐き気や下痢を起こし、最悪の場合、死に至るという。

「とりあえず、検査結果を待った方がよろしいかと」

悠梨の同級生であり、同じ監察医の桐生 智樹(きりゅう ともき)が顔を出した。

「……そうですね」

新藤刑事は、少し考えた後に微笑む。そして、「では」と頭を下げると研究所を出ていった。



研究所に結果が届いたある日、結果を新藤刑事に伝えた悠梨たちは、依頼もなく雑談で盛り上がっていた。

「皆さん、大変です!」

「新藤刑事が慌てているなんて、珍しいですね。何かあったのですか?」

その研究所に、新藤刑事が息を切らして入ってくる。その様子を見た悠梨は、そう言いながら机から立ち上がった。

「あの花は、結果や調査などで彼岸花で間違いないのは分かりました。しかし、また新たな謎が出てきて……」

芽依の体内からは、アルカロイドが検出され、芽依は彼岸花を食べていたことが分かったのだ。

「謎……?」

颯介が立ち上がると、新藤刑事は「これ」と一枚の紙を渡した。新藤刑事は、芽依の部屋から出てきたという。

その紙には、こう綴られていた。
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