恋を拗らせている。
「あぁー…汚いですもんね」
「うん…練習中とか時間あいたときにも片付けたりしてるんだけどさ…ほんとに汚い」



爪先立ちでローファーをペコペコと曲げる。
無意識ぽい。愚痴をこぼす時の癖。
この歳の女子の平均身長的には少し小さめ…というかだいぶ小さめの145センチ。
背伸びしても全然低い。

バスケ部内ではチビすぎて、集合かかった時は認識できるように1番前に立たされている。
180センチ手前の俺と話してる時はよく首を痛そうにしてたっけか。



ホームに、またガタゴトと電車が入ってくる。今度は俺たちが乗る電車。



「あ、乗りましょ〜」



ガラガラの電車。座席は座りたい放題で、俺たちは並んで座る。
当たり前だけど、俺の隣は弥那。



「弥那先輩、晩ご飯食べに行きません?」
「うーん…また今度ね」
「あら、やんわり断られた」



…よくもまぁ俺の前でそんなことできるよな。
和久の顔を見つめてやると、ニヤッと笑いやがった。
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