華麗なる人生に暗雲はつきもの
きっとそれは、この数年の俺の傲慢さの付けなのだろう。
「ぶっちゃけ、お前を快く思わないやつも多い。何もかも恵まれ過ぎてるからな。そんなやつが、女に振られて落ち込んでるなんて親近感持つだろ?」
今後、お前が働く上で良いと思うぞ、と俺の肩を叩く。
俺のことを気に食わない連中なんて、学生時代から大勢いたから今さらでどうでもいい。
一番嫌われたくない水野に嫌われている、その事実が俺にとって悪夢のような現実。
何も言わない俺に高杉さんはため息を吐いた。
「女なんて星の数ほどいるだろ?ボコボコにされても彼女じゃないとだめなのか?」
「彼女にボコられたわけじゃないですから。嫌われても俺には水野以外は考えられないんですよ」
「榊田は良い男だ。そんなお前に思われてるなんて幸せだと思うんだがな」
「そうでもないです。愛情が重い上に、ガキ扱いされて殴り返すことも言い返すこともできなかった男ですから」
お先に失礼します、と席を立つ。
何故、俺の心は水野しか望まないのだろう。
違うものを望めば、もっと多くのものが手に入るのに。
どうしてこんなにも溺れるように愛しているのだろうか。