華麗なる人生に暗雲はつきもの
「小春ちゃんが大好きなのに素でダメ彼氏。根本的にお兄ちゃんって女性と付き合うのに向いてないと思う」
俺の奮い立たせた気力も再度、撃沈。
沈黙した隙に、姉貴と美玖のマシンガントークが炸裂する。
「水族館の代わりに魚市場に行って映画の代わりにレンタルビデオ。さらに、動物園の代わりにご近所のよ犬の頭を撫でさせるとは、なかなか斬新だ」
「それだけでもあり得ないのに。バレンタインのお返しを小春ちゃんに選ばせてさ。小春ちゃんへのお返しも義理チョコと同じクッキーに小袋」
撃沈し気力もないはずなのに、心がまた悲鳴を上げる。
「去年、私もお返しを買う時に同行してね、お兄ゃんに忠告したんだよ。ホワイトデーに彼女が欲しいものランキングがエレベーターに貼られていてさ」
「………………」
「お兄ちゃん、なんて言ったと思う?たかがチョコのお返えしに高価なものを強請るなんて厚ましいて言ったの。小春ちゃんの前でだよ?信じられる!?」
「我が弟ながらアホだ。そんなことを言ったら強請れないだろう」