華麗なる人生に暗雲はつきもの
そんな中でも気にせず、押し黙まらない人が唯一。
「まったく。小春の言うとおりよ。別に俊君のせいだけじゃないでしょ」
「そんなことはない。男の責任だと思うが、違うか?」
「……信頼していただいていたのに本当に申し訳ありませんでした」
謝罪するばかりでは事態は解決しないが、今はそれしかないように思えた。
「俊君のご両親までわざわざ来ていただいたのに、その態度はどうなのかしら」
「どんでもありません。大事な娘さんに申し訳がなくて、お詫びの言葉もないです。水野さんの仰ることが当然だと思います」
親父とお袋が深々と頭を下げると少しバツの悪い顔をするおじさん。
その隙をおばさんは見逃さなかった。
「あら?私からしたら、わが娘。良くやったわ!って思ってしまいましけど。こんな平凡な子が俊君みたいな人と結婚なんて不釣り合いというか厚かましいというか」
「美紀子!!小春のことをそんな風に言ことは許るさない!!小春と俊君のどこが不釣り合だ!?性格だって外見だって小春は可愛い子だ!!」
「本当に親バカでしょ?客観的に物事を見ることができなくて。俊君の容姿を見ただけで違いがわからないなんて」
おばさんの思惑通りにおじさんが動き出したのがわかった。