華麗なる人生に暗雲はつきもの
まぁ、この場合は他の男を秘密裏に抹殺していそうだが。
だが、俺が犯罪者になる心配はない。
耳元で囁かれる言葉は、のん気な朝のあいさつだし。
物欲がなさ過ぎて、誕生日プレゼントなんかも毎年苦労するぐらいだ。
まして、俺に夢中で浮気の心配もないし。
惚れた女が正解だったというわけだ。
そう、溺れきっていた。
マイナスイオンの海に。
別に、水野は俺のもので心変わりなんてありえないから、どっぷりと溺れていて何の問題もないと、俺は遠慮なく溺れきっていたのだ。
そして、日曜日。
土曜日と同じ時間を過ごす。
つまりは、朝食を作り、水野を起こし、俺はまた仕事をする。
俺がついている先輩の仕事の資料集めやらなんやらだ。
早く一人前になりたいと言う気持ちが休日も仕事へと駆り立てる。
クソ喰らえ的先輩ではあるが、できる人間だ。
パシリにされても、何でも吸収できるものは吸収してやる。
そんなで仕事に精を出すこと数時間、ふっと力が抜けるところ。
キリが良いところだったり、集中力が途絶えたところだったりと、絶妙なタイミングで水野はコーヒーを出す。
あまりにタイミングが良くて、いつだったか、何でわかるのか聞いたことがある。
そうしたら、水野は得意げに、いつも榊田君を見ているからだよ、と答えになっているのか微妙な回答が返ってきた。