一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
そう、萌音のお腹に宿っていたのは双子だったのだ。

検診当日の21時頃に、産婦人科から再診の連絡があった。

役所の一番近くにあったという理由だけで、閉診間近のkanematsu産婦人科というところを萌音は受診した、いや、海音に受診させられたのだ・・・。

そこは個人病院であったが、麻酔科を併設しており、あの近所のおばちゃんのように素っ気なかった女医さんは、突如、かかりつけ患者の緊急帝王切開が入ることになり、忙しい中であの日最後の診察患者である萌音の診察をしたらしい。

急いで超音波診断をし、萌音と海音に妊娠を告げた女医だったが、どうしても気になることがあり、手術が終わって一段落した時点で萌音に電話をしたと告げた。

『明日もう一度診察をしたいので、午前中に来てください』

いきなり再診を告げられて内心ビクビクしていた萌音だったが、

診察の結果、女医は驚くべき事実を告げた。

「やっぱり・・・」

「先生、なにか子供に問題があるのでしょうか?何があっても育てていく所存ですが・・」

萌音と海音の不安そうな声に、兼松浅子先生は笑顔で告げた。

「昨日は重なりあってたからよく見えなかったんだけど、双子よ。本当は昨日も時間をかけて良く調べたかったんだけど、夕べは急な手術で急いでいてごめんなさいね。追加の診察代は請求しないので許して」

多胎妊娠がわかるのは妊娠5週から8週が多いのだが、中には妊娠後期までわからない人も稀にいるという。

「胎盤は2つあります。性別はまだわからないけど、男男、男女、女女、いづれの可能性もあるからお楽しみにね」

゛なんということでしょう?あっという間に二児の母になりました゛

サ◯エさんで有名な声優さんが担当するリフォーム番組のお馴染みナレーションを真似たセリフが、萌音の頭を周順した。

隣にいた海音もさすがに唖然としている。

「あ、ありがとうございます。楽しみです」

二人はニコニコ顔の兼松医師にお礼を述べて、もう一枚の診断書を手にして診察室を後にしたのだった。
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