一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
これは不味い展開だ、と萌音は思った。

「お腹も大きいままでしょ?色気もくそもないはず。発情しないで」

冗談めかして言うが、海音には通用しない。

「なに言ってんだ。俺はずっと萌音に発情してる。365日、毎日だ。それを鋼の理性で押さえていた。出産後しばらくは無理をさせられないのはわかってる。でももうキスとハグだけは我慢しないからな。覚悟しろ」

これまでだって我慢していた様子はなかったが、それはそれでうれしい。

妊婦だから、産婦だからと愛情に差があるのも、女として見られないのも辛い。

萌音はニッコリと微笑んで、今度は自分から海音に抱きついた。

「パパ、ママとしてだけじゃなく、ずっと恋人同士のように仲良くしてね、今までのように」

正面から涙目で見上げる萌音の様子に、海音は感慨を覚える。

「また一つ、俺達乗りきったな」

「そうだね。一緒にね」

貧血でボンヤリしていたのを幸いに、萌音はしっかりと海音に体重を乗せて寄りかかった。

しっかりと抱き留めてくれる力強く逞しい腕に、萌音は自分がこれまで、相当気を張っていたことに気づいた。

これからは妊娠中のように一人で頑張る場面はなくなる。

双子は萌音のお腹から巣立って行ったのだから。

運命のツインソウルは二人揃って難問を乗り越えていくのだろう。

予期せぬ双子の自然分娩を乗り越えた二人は、これから待つ双子の育児すら恋愛のスパイスとして楽しむ。

そんな未来を甘やかな包容の中で誓うのだった。




妊娠・出産編
おしまい。
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