彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「あのな、凛!俺が言いたいのはな、凛にわざわざ勤め先の名刺渡して招待しておいて、さらにはからまれてるのを助けてやったのに、助けた凛を張り倒す神経がわからないって言ってんだよ!」

「あ、そういうことですか?」

「そうだよ!あの時の凛に落ち度があったとは、何度思い返しても思い当たらねぇ!いきなり殴るとか、意味わかんねぇだろう!?凛の何にキレたんだよ?」

「あ・・・それは、僕も思いました。」



みけんにしわを寄せながら怒る好きな人に私も同意した。



(怒らせるようなことしたかしら?いや、してないよね・・・?)



失礼がなかったかと思い返していれば、不機嫌な瑞希お兄ちゃんに言われた。



「凛オメー、頭にこないのか!?ムカつかないのか!?」

「どちらかと言えば、怒りより『疑問』という気持ちの方が強いですね。本当に・・・何が悪かったのかわかりません・・・」

「マジでマイペースだな、オイ!?」

「あん♪冷静な凛ちゃんも好きー!!」

「やれやれ・・・やられた本人よりも、俺達周りの方が熱くなっていたようだな・・・」

「わはははは!凛助は変わってるからなー!!」

「百鬼さんには言われたくないです・・・」

「あん!?なんか言ったかぁ~!?り~ん~す~け~!?」

「な、なんでもないですよ!」


そうは言ったけど、私の頭へと手を伸ばしてきて、グイグイとゆらす百鬼。


「わはははは!」

「お、お許しを~!」

「やめろ、皇助!凛の手当て中にちょっかい出すな!」

「そうよ!凛ちゃん、ほっぺはまだ痛い!?ずいぶん冷やしたけど、痛みはひいたかしら!?どんな感じ!?」

「え、えーと、痛いと言うか・・・ズキズキはしますね・・・」

「凛道、世間ではそれを痛みと言うのだ。まだ痛いらしいぞ、瑞希。」

「じゃあ、タオルを交換すっか・・・ぬるくなったしな・・・。」

「はい、みーちゃん!新しいの!」

「サンキュ、モニカ。」



不機嫌なモニカちゃんから、瑞希お兄ちゃんが濡れタオルを回収する。

それを私の頬にあててくれた。

冷たさを感じたのは一瞬で、相変わらず、頬は熱かった。



< 354 / 922 >

この作品をシェア

pagetop