彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「あのな、凛!俺が言いたいのはな、凛にわざわざ勤め先の名刺渡して招待しておいて、さらにはからまれてるのを助けてやったのに、助けた凛を張り倒す神経がわからないって言ってんだよ!」
「あ、そういうことですか?」
「そうだよ!あの時の凛に落ち度があったとは、何度思い返しても思い当たらねぇ!いきなり殴るとか、意味わかんねぇだろう!?凛の何にキレたんだよ?」
「あ・・・それは、僕も思いました。」
みけんにしわを寄せながら怒る好きな人に私も同意した。
(怒らせるようなことしたかしら?いや、してないよね・・・?)
失礼がなかったかと思い返していれば、不機嫌な瑞希お兄ちゃんに言われた。
「凛オメー、頭にこないのか!?ムカつかないのか!?」
「どちらかと言えば、怒りより『疑問』という気持ちの方が強いですね。本当に・・・何が悪かったのかわかりません・・・」
「マジでマイペースだな、オイ!?」
「あん♪冷静な凛ちゃんも好きー!!」
「やれやれ・・・やられた本人よりも、俺達周りの方が熱くなっていたようだな・・・」
「わはははは!凛助は変わってるからなー!!」
「百鬼さんには言われたくないです・・・」
「あん!?なんか言ったかぁ~!?り~ん~す~け~!?」
「な、なんでもないですよ!」
そうは言ったけど、私の頭へと手を伸ばしてきて、グイグイとゆらす百鬼。
「わはははは!」
「お、お許しを~!」
「やめろ、皇助!凛の手当て中にちょっかい出すな!」
「そうよ!凛ちゃん、ほっぺはまだ痛い!?ずいぶん冷やしたけど、痛みはひいたかしら!?どんな感じ!?」
「え、えーと、痛いと言うか・・・ズキズキはしますね・・・」
「凛道、世間ではそれを痛みと言うのだ。まだ痛いらしいぞ、瑞希。」
「じゃあ、タオルを交換すっか・・・ぬるくなったしな・・・。」
「はい、みーちゃん!新しいの!」
「サンキュ、モニカ。」
不機嫌なモニカちゃんから、瑞希お兄ちゃんが濡れタオルを回収する。
それを私の頬にあててくれた。
冷たさを感じたのは一瞬で、相変わらず、頬は熱かった。