彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「なぜ、私に吉田さんのことを聞くのですか?」
それを口に出したら教えてくれた。
「実はね、吉田さん・・・クラスで孤立してるみたいだから。」
「え?」
「小村さんと何かあったみたいだけど、本当のことを話してくれないの。」
「・・・・・・そんなこと私に言われても、どう返事していいかわかりません。」
下手なことは言えない。
よっちゃんのことをこんな風にしゃべるぐらいだから、私が発した言葉も、きっとだけかにしゃべるだろう。
「そうね、ごめんなさい。でもね、菅原さん―――」
私の肩手を両手で握ると、まっすぐと私を見ながら言った。
「なにかあったら、先生に、私に相談して。私は、あなたを助けたいから。」
「・・・・・・・・ありがとうございます。覚えておきます。」
助けたいとか、いくらでも言える言葉だ。
助けてを求めたとしても、後藤先生に私のいじめが止められるはずがない。
経済的にも社会的にも地位いの高い渕上家と・・・・・互角にやりあえるわけがない。
「後藤先生、私急いでるのでそろそろ・・・・」
「あ、ごめんね。お昼ご飯食べる時間、なくなっちゃうね?」
「・・・はい。」
「ねぇ、菅原さん。良かったら先生とご飯一緒に食べない?先生も1人なの。」
「っ!?」
(『先生も1人なの』って――――――――!?)
「『私も1人』みたいないい方しないで下さい!!!」
思わず張り上げてしまった声。
「えーなになに?」
「なんかもめごと~」
「後藤先生と誰ー?」
(しまった!)
うっかり、目立つマネをした自分が恥ずかしくなる。
「あ・・・ご、ごめんなさいね、菅原さん。」
そこへ、あせりながら謝ってくる教師を見て、さらに羞恥心が増した。
「失礼します!」
そう宣言して、速足で逃げるしかなかった。