皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
ヒナが開けたドアから顔を出すと、ものすごーく嫌そうな顔。



それが見たかった。



「夕食はいかがしますか?」

「部屋で取る。運んでくれ」

「かしこまりましたー‼︎」



ヒナが準備をしに行って、ソファーに座って本を読んでいたアリスの隣に座った。



甘い匂い…。



「何味?」

「いちご…」

「ふぅん。うまいか?」

「あげ、あげませんからねっ⁉︎」



俺が大量に買ってやった飴を食べているアリスが、本を閉じて俺から離れた。



そうやって逃げるから追いたくなるのに。



アリスは俺を煽る天才だな。



「なぁ、妃よ」

「はいっ?」

「結婚式には俺が最初に贈ったアクセサリーを着ける風習があるのだが、俺はお前に何か送った記憶がない」

「えぇ、いただいた記憶もございませんからね」

「何がいいのだ?」

「それは…殿下が考えればいいのでは?そういうものですよね…?」

「ヒントくれ。欲しいものの」

「…………イヤです」

「は?」

「ご自分で考えてください。私のことを考えて。一生懸命、考えてください」



なんだよ、それ…。



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