先輩の彼女
言ってしまおうか。

絹花が知ってるのであれば、正直に言った方がいい。


「絹花。ごめん。」

絹花は、更にキツい目で、私を見る。

「ほら。やっぱりそうだったんじゃない!」

そして、ソファから私に、飛びかかってきた。

「聞いて!絹花!」

「聞かなくても分かるわよ!」


これが、修羅場ってヤツ?

知らない人とじゃなくて、親友と掴み合いのケンカだなんて。


「落ち着いて!お願い!」

「これが落ち着いていられますか!」

絹花は、聞く耳持たずといった感じ。

私は絹花を落ち着かせる事を、諦めた。

「先輩の事、好きだった事は謝る!」

「え……」

予想に反して、絹花の力は弱まった。


「でも、先輩を好きになったのは、絹花に彼氏だって聞く前の事で。決して、絹花から取ろうなんて、考えた事ないから!」

「ウソ……」

「ウソじゃない。何度も、先輩の事。諦めようと思った。絹花は、私の親友だから。」
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