涙とキスと隣の泣き虫



「ハナちゃん、手どうしたの?」

2人で歩道を並んで歩き出せば、気まずそうに口を開いたのはリキの方だった。


「何が?」

「ちょっと腫れてるよね?」

リキの視線に自分の右手に目を落としてみれば、


「喧嘩でもしたの?」

さっき男の人達を殴ったせいか私の手は少しだけ赤く熱を持っていた。


「あー、リキには関係無いじゃん」

「で、でも」

「余計な模索しないで前見て歩けば?」

別に兄貴との喧嘩だって殴り合う事もあるし、この程度の腫れは別に日常茶飯事で大したこと無い筈。


「う、うん。でも、なんか元気無いよね?」

「だからリキには関係無いって言ってるじゃん」

自分でも想像以上に強い口調が出て驚いた。
慌てて隣を歩くリキに視線を向ければ、案の定 目には涙を浮かべている。


「あー、もうごめんってば」

面倒だと思った私からは大きな溜め息が漏れた。



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