行きたかった
行き

ラブホテルにて

部屋の感じが、思っていたのと、少し違うかった。


「この部屋、キラキラした照明が少ない気がする」

「ごめん。もっと、値段が高ければ、キラキラが、多いんだけど。俺には、これが精一杯なのさ。祥も、この部屋でいいって言ったじゃん」

「言ったけど…」

「祥、お菓子に夢中だったからな」

「う…はい」

「もっと、違う部屋を、見たかったら、また、俺を誘うんだな」

「そんなに祥と、エッチしたいの?」

「やりたいよ。セックス」

「無理。そんなしつこく言うなら、このお菓子あげないんだから」

「はい。ごめんなさい。そのお菓子、好きだから、もう言わない」


私の手から、健二が好きなお菓子を、奪い取った。






「テレビつけていい?」

「いいよ」







「ぎゃっ、これ、何?」

「あ、これ、男性器を…」

「それを、聞いてるんじゃない!」

「これは、アダルトビデオ。これ、観たくて、つけたんじゃないの?」

「違うから!変えてよ」

「わかった。この映画だったら、いいよな。恋愛ものだけど」


テレビには、男女が、食事をするシーンが、映し出されている。

「恋愛物?ま、さっきよりは、いい。アクションものはないの?」

「ない」

「嘘、あるはずよ」

「じゃ、自分で、操作してみれば?今度、間違えても、知らないけど」

「意地悪」

「でも、どうして、アダルトビデオは、嫌なの?」

「嫌だもの。理由は、特にない」

「ふーん」

「祥、これでも飲んで、落ち着いたら?」
 
「落ち着いてるし。って、これ、祥が、買ったものだよね?」

「そうだけど。飲んだら?」

「うっ、ん。飲むけどね。これ、なんだと思う?」

「祥が買ったんじゃないの?これ」

「英語で書いてるから、読めない。感覚で、美味しいかなっと思って、買ったから。健二、読めないの?」

「読めない」

「読めるくせに。健二って、そんなに、意地悪だっけ?」

「さあね」


私は、その飲料を、一気に飲んだ。

リンゴ味の炭酸飲料だった。
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