氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 パシるんじゃなくて。

 おもてなしです。

 イガラシさんが来てくれたら、みんなも喜ぶ。

「そうか。依里奈が作ってんだな」
「わたしがっていうか、3人で」
「夜はバーベキューか」
「大正解です。焼くのは各自ですが。わたし、おにぎり握りますよ!」
「じゃあ俺は火起こしでも手伝うか」
「ほんとですか!?」
「やったことあるか」
「いえ。まったく」
「意外に難しいんだよな。あれ」
「よろしくお願いします……!」

 よかった。

 一人で食べるより、せっかくだから、みんなと食べてもらえる方がいい。

「思わせぶり――って言われたんだったか」

 ……あ。

「それは。忘れてください!」

 天津さんのことイガラシさんに告げ口したみたいで感じ悪くなる。

 天津さんとわたしのことは、わたしが自分の力でなんとかしなきゃだ。

「わからなくもない」
「……え」
「なんだかんだ。男って単純だから。頼られれば嬉しいし。褒められると自惚れる」
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