闇色のシンデレラ
彼らの諸事情を、出会ったばかりのわたしが首をつっこむのは迷惑な話だと思う。


でも、わたしだって血縁関係は親戚だったけど、愛情を教えてくれた人がいたから、叔父さんがいたから、ここまで生きて来られたんだ。


だから彼に、大切なのは心の繋がりなんだと伝えたい。



「……なるほど」



するとその前に、彼はわたしに対して納得したようにうなずいた。



「少し、分かった気がします」



そして固い表情を解き微笑みかける。


何が分かったのかは分からないけど、彼の中で何かが変わったというのならそれで十分。


人の笑顔はわたしを優しくするから。


そうして、ほんの少しだけど分かち合うことのできた司水さんと見つめ合っていると。






「壱華、たすけて!剛こわいー!」

「ぶふっ!ふざけんなてめえ!」

「憂雅くん……ちょっと?」




憂雅くんが足を拭いたらしいタオルを剛さんに投げつけ、急にわたしの手を引っ張った。


小さな手に引かれ、振りほどく理由もないため——



「っておい、やめろ憂雅!その人を巻き込むな」



憂雅くんのプチ逃走劇に参加するはめになった。
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