闇色のシンデレラ
「あ、剛さん」



数分後、憂雅くんに手を引っ張られ現れた剛さん。


本当に寝ていたらしく、憂雅くんとおそろいの寝グセがついてる。


初めて彼が可愛いなんて思ったけど、わたしが注目するのはそこじゃないんだ。




「就寝中ごめんなさい。あの、剛さんにどうしても言いたいことがあって」



フラフラ近づいてきた剛さんに小走りで寄った。


憂雅くんは彼の服を掴んで大人しくして、空気を壊さないようにしてくれている。



「はあ、俺にっすか?」

「その………車壊してすみませんでした!」



わたしは腰を直角に曲げて勢いよく謝罪した。



「……は?」

「4ヶ月も前のことなのに今さらごめんなさい。
でも、剛さんの大事にしてる車なのに傷つけてしまって申し訳ないと思って」



しばらくその状態で止まっていると、目線の先であたふたと剛さんの足が動いているのを確認した。


あれ、なんで彼が慌ててるの?




「頭を上げてください。あれくらいで壱華さんを恨むほど、俺は小せぇ人間じゃないっす」

「え、でも、すごい怒ってるって……」

「怒ってないっすよ。どうせ親父が乗ってた年季の入ったオンボロ車ですし」

「へ……?」



……やられた。


志勇、剛さん全然怒ってないじゃん。


剛さんが大層怒ってるなんて言ったから謝罪したのに。


どっちにしろ許してもらったからいいけど。
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