闇色のシンデレラ
部屋の外は暗く、不気味な黒い雲からは今にも雨が降ってきそうだ。



「壱華!」



そんな天気も吹き飛ばすぐらい、元気いっぱいに登場したのはわんぱく憂雅くん。


叱られたのもへっちゃらみたいで、駆け寄ってわたしに抱きついてきた。



「壱華どこいくの?もうかえっちゃうの?」

「帰らないよ。今ね、剛さんを探してるの」

「剛?剛ねえ、いっしょにおひるねしてたからそこにいるよ」

「お昼寝?」

「うん」



お昼寝してたらしく、寝癖がついてるのがまた可愛い。



「剛さがしてるの?」

「うん、そうなの」

「んー、じゃあおこしてくるー!」

「あ、待って。寝てるなら別に……」



すると幼いながらも察してくれた憂雅くんは、素早い動きで走っていってしまった。


剛さん、寝てたのにいいのかな。


でも憂雅くんが連れてきてくれるっていうからこの辺で待っておこう。











このとき、わたしはなぜ立ち込める暗雲を見て何も感じなかったのか。


偶然とは時に無慈悲で、急かした欲は慎重さを失わせることを、わたしは忘れていた。


知識欲、探求欲───これらが芽生えたばかりに、わたしは再び闇に襲われることとなる。





悪夢の再上映まで残りわずか。




着々と『彼ら』はこちらに向かっていた。














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