闇色のシンデレラ
自分の唸り声は、一時的に意識を夢うつつの状態まで持ち上げる。


何回、この夢をループしただろうか。


小さい頃から繰り返し見る夢。


抜け出したくても、心身ともに衰弱した体はいうことを聞かなくて、わたしを目覚めさせてくれない。


また孤独な暗闇に落ちそうになる。



だけどその度に、わたしを救う感覚があった。




「……落ち着け」



ふわりと持ち上がるわたしの体。


しばらくして唇に触れるあたたかくて優しい感触と、干からびた喉を通る冷たい水。



「大丈夫だ、壱華」



脳内に響く声は心地よくて、背中に回された手は火照った体にはちょうどいい。



「俺が嫌でも離してやらねえから安心しろ」



いつだってわたしを助けてくれるこの感覚。


誰?誰なの?


そこにいて、その声を聞かせてくれるあなたは誰?



「ん……」



知りたいという欲求が、ついにわたしを覚醒させた。
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