闇色のシンデレラ
視界全体に白い光が差す。


光に慣れていない目はくらんでぼやける。


ようやく焦点が定まると視界に飛び込んできたのは───



「壱華?」



息を飲むほど綺麗な、男の顔。



サラサラとした黒い髪が目の前で揺れて、少し長めの前髪から整った眉がのぞいている。


眉根から伸びるまっすぐな鼻筋。


血色のいい薄い唇からは聞き取りやすくよく通る声が(つむ)がれている。


そして何よりも強い光を放つ瞳に圧倒された。


混じり気のない純粋な黒の瞳は、常に光を変えて輝いている。


その見透かされそうな眼はふと、寝起きで曖昧な記憶を明確にさせた。



「おい、分かるか?こっち見ろ」



思い出した。


気を失う直前に見た、“闇色の男”だ。
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