闇色のシンデレラ
……殺される?誰に?



「極山会がお前を殺しに直に来る。
これは情報屋梟からの確実な情報だ」



ああ、そういうことか。


殺されると言われても、なぜかわたしは落ち着き払っていた。


そんなことずっと前から分かっていたから。




「その前に、西に逃げてくれ。西雲会がお前をかくまってくれる」



けれど、だからって志勇から離れろと?冗談じゃない。



「嫌と言ったら?」

「俺が連れていく」

「来ないで」



距離を詰めようとする理叶を睨みつける。


すると、理叶は悲しげな顔をした。



「……そんなにあの男がいいのか?」

「当たり前でしょう?あの人以外考えられない。どの道殺されるんだとしたら、あの人のそばで死にたい」



諭すように語ると、静観していた光冴が横から入ってきた。



「……もし、壱華が死んだら、荒瀬は終わる。それでもいいのか」



彼もまた、胸の痛くなるような悲痛な表情をしていた。



「大袈裟に言えば日本が終わる。
日本の柱の内、2つが崩れる。
極山が全てを飲み込んで終いだ」



わたしの存在が、なんだというの?



「壱華はそれほど重要な存在なんだ。死なせるわけにはいかない」



いやだ、知りたくない。


まだ魔法が解ける時間じゃない。


わたしが闇に堕ちたシンデレラであるとすれば、王子(そちら)のいうことは聞かない。




「……誰が、黒帝なんかに……」





気がつくと、自分の冷たい声がこだましていた。
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