闇色のシンデレラ
「俺は、荒瀬志勇(あらせしゆう)




……荒瀬?



「ここは俺の家だ」



どこかで聞いたことのある名だけど、頭が回らなくて肝心なところが思い出せない。


仕方ないので部屋を眺めた。


机とパソコンと本棚、書斎のようなスペースにベットがひとつ。


そこに荒瀬さんは座ってわたしを膝の上に乗せている。


逃げたくても、がっちりホールドされてるから逃走は不可能。




「お前はここに連れてきてから4日間、熱が出て寝たきりだったから俺が看病していた。
外傷による発熱もあったんだろうが……ずっと熱が下がらなくてな」

「はっ……」



そして気がついた。


今着てるこの服、わたしのじゃない。


しかも、下着つけてない。



「こうやってお前がうなされる度に抱きしめて、ずっとな……」



その状態で密着する男女の身体。


初対面の男にそんなことされたら相当困惑してしまうわけで。



「ん、やっ……」



うつむいて彼の体を押し返した。
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