闇色のシンデレラ
事故で死んだことになっていた?


いや、そんなはずはない。だってわたしは事故を起こした車に乗っていない。


幼いわたしを残して、2人はこの世を去ったのだと叔父さんは言っていた。



「これが当時の記事」



すると望月は手に持っていたファイルを開いてわたしに渡してきた。


震える手でそれを受け取ると——


『親子3人を乗せた車が川へ転落。子どもは車外に投げ出され行方不明か』と新聞の見出しが視界に飛び込んできた。


夢中で読み進めていると、望月は声をかけてきた。



「読んだか?次のページめくってみぃ」



もはや思考は困惑する一方で、わたしは声に従ってページをめくるのが精一杯だった。


わたしはページをめくって言葉を失ってしまった。







そこには、華美で真っ赤な着物を着て、口元に微笑みを携えるわたし。


だけどわたしは、こんな色の着物を着たこともなければ、こんなふうに笑って写真を撮ったこともなかった。



「よう似てるやろ、お前に」



そばで見守る望月の声に我に返る。



「声も似てるんやで、不思議なことになぁ」



……これが、望月幹奈。わたしの、お母さん?




「そこに写ってはるのは20歳の頃の望月幹奈。
その女は……俺の親父と伴侶になるはずやった」




話についていけないわたしをよそに、彼は語り始めた。


それは真実を頑なに拒んできた故に作り上げた壁を、いとも簡単に覇王に壊されていくような感覚。



「事の始まりは20年前。結婚を直前に控えた幹奈が逃げ出した。
西が崩壊の一途を辿るようになったんは、そこからや」



もう、わたしに逃げ場などなかった。
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