闇色のシンデレラ
「俺が7つのとき、おふくろが死んだ。すべての始まりはそこからや」



覇王は私の目を見て語りだした。



「親父は、西雲会に所属する派閥の内、2番目に大きな組織のトップやった。
その当時、若頭の座は、統帥に跡継ぎがいないことで10年以上前から空席。
そこで若頭として選出されたのが、その時期に妻を亡くした親父やった」



虎のようなその目、わたしはそらすことが出来なかった。



「親父が幹奈と結婚して婿入りすればなんの問題もない。
ところがあるときを境に、幹奈は消息不明になった」

「……」

「事を知った西雲会は、総出で血眼になって幹奈を捜して回った。
せやけど1年かけても見つからず、結婚の話は帳消しに。
結局、婿入りではなく養子入りという形で収まり、親父は若頭に任命された。
それは八代続く西雲会の、前代未聞の出来事やった」



お母さんが行方をくらませたのはきっと、お父さんと駆け落ちしたからだろうとわたしは思った。


あの二人は、夢の中では確かに愛し合っていたから。



「当然、それに納得せん輩もおった。
西雲会※直参(じきさん)天音一家(あまねいっか)と呼ばれる連中や。
奴らは望月の血が途絶えると騒ぎ立て抗議を起こした。
……まあ本心は、自分が若頭に選ばれへんかった八つ当たりみたいなもんやけど」




望月は「男の嫉妬って醜いわぁ」と言って笑った。








※直参……組織のトップから直接「盃」を受けた部下のこと。ヤクザ組織における幹部
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