闇色のシンデレラ
……秘密を明かされ、ずっと隠されてきた生い立ちが悲しいものだと知った。
だけど話が途切れたとき、わたしを支配した感情は怒りだった。
志勇が裏切るなんてありえない。
だいたい、わたしを誘拐した分際で何を言っているの?
キッと彼を睨みつけるも、動じない大きな虎は、適当に受け流してあしらった。
「色々、聞きたいことがあるやろ。
やけど質問に答えるのはその後にしよう。
もうひとつだけ、話すべきことがある。
……極山会についてや」
けれど極山というワードには、はっとして耳を傾けた。
「あいつらは元来、荒瀬にも極山にも足元にも及ばないような小さな組織やった。
日本三大暴力団なんて、そんな俗称ほんの5年前までは存在せんかった。
ところが5年前、山城総司っちゅう男が若頭となったことで全てが変わった。
あいつは残虐極まりない方法で、確実に力をつけていきよった」
「山城……」
その名が出ると、治ったはずの左腕がうずいた。
落ち着かせようと傷の上に咲いた椿の花に触れる。