明日の世界がきみの笑顔で溢れるように。
『結くん……?』



きみの涙なんて見たことがなかったのに、きみは泣いていて、止まることなく落ちる雫を私は静かに見つめることしかできなくて。

病気になってから一回もないていないはずだけれど、きっと見せていたなかっただけで、泣いていて、私の前では笑っていたのだろう。




『咲雪……もうこなくていいよ』
『えっ……?』



はじめは脳がフリーズしてうまく理解できなかったけれど、咀嚼して理解したとき、頭が重くなった。

つらそうに、苦しそうに歪めた顔、初めて見た涙は今でも脳裏に焼きついている。




『なんで俺にはみんな教えてくれないんだよ……っ、なんで無理して笑ってるんだよ』



きみの目からまたひとつぶ透明な雫が零れ落ちて、絶え間なくきみの頬を伝って白い布団にシミをつくっていく。




『怒る資格なんてないんだよな、だって俺がその顔を作ってるんだもんな……ごめん、でももうこなくていいよ』
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