独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
激しい渋滞もなくてよかったと思いながら、駐車場に到着した車から降りた。
パパとママと手を繋いで歩く幼い子供が、目の前を通り過ぎていく。そのかわいらしい姿を見ただけで、気持ちが和んだ。
家族連れが多いのは、きっと夏休みだからだろう。
数年後には、私たちも子供の手を引いているのかな……。
親子連れに自分たちの姿を重ねてみたら、急に照れくささを感じてしまった。
「どうしたの?」
「えっ? あ……いい天気だなって思って……」
子供について考えていたと知られるのはさすがに恥ずかしくて、慌てて誤魔化した。
「そうだね。日差しが強くて暑いけどね」
樹先生が目を細めて空を見上げる。青空をバックにした横顔は、とても爽やかでカッコいい。
魚より樹先生に見惚れてしまいそうだな……。
不安を感じていると、不意に手を握られた。
「暑いなか、手を繋ぐのは嫌?」
エアコンが効いた車内はとても快適だった。けれど外は気温も湿度も高く、じっとしていても額や背中に汗を掻くほど暑い。それでも樹先生と手を繋げるのはうれしい。
「いいえ」
「よかった。じゃあ行こうか」
「はい」
緩やかな風が吹き、髪がふわりと舞い上がる。ほのかに潮の香りを含んだ風に、海が近いことを実感しながら水族館を目指した。