独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
今は何時?
ハッと目が覚め、ベッドに寝転がったまま壁かけ時計に視線を向けた。針は午前六時三十分を指している。
たしか昨日は加藤君とお酒を飲んで、帰ろうとしたら樹先生とバッタリ会って……。
昨夜の出来事が徐々によみがえってきた。
不機嫌オーラ全開の樹先生と一緒にタクシーに乗ったんだよね。それから……。
あれ? それからどうしたんだっけ?
上半身を起こして頭をひねっても、タクシーに乗ってからの記憶がない。
もしかして……ううん。もしかしなくても私、タクシーの中で寝ちゃったんだ。樹先生に、あきれられちゃったかもしれない……。
好きな人の前で寝落ちしてしまったマヌケな自分が情けなくて、大きなため息をついた。けれど、いつまでもダラダラしていては遅刻してしまう。
もう一度ベッドに横になりたい気持ちを堪えて立ち上がると、出社するために身支度を整えた。