独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「うん。おいしい」
「ありがとうございます」
ふたりで作ったカレーを食べ終わり、今はリビングに移動してレアチーズケーキを味わっている。
久しぶりにスイーツを作ったけれど、自分でもおいしくできたと思う。
喜んでくれてよかった……。
まぶしい笑顔をうれしく思いながら、チーズケーキを口に運んだ。
「友だちと会って、楽しかった?」
「はい。でも、長く付き合っていた彼氏と別れたらしくて……」
おいしい料理を食べて、おしゃべりした時間はとても楽しかった。けれど美咲のことを思うと、まだ胸が痛い。
「それは悲しいね」
「はい。人の心って簡単に変わってしまうものなんですね」
樹先生以外の人を好きになれなかった私にとって、美咲と付き合っているにもかかわらず、ほかの女性に惹かれてしまう心理がよくわからない。
この先、樹先生に別れようと言われたらどうしよう……。
心が落ち着かず、まだ半分以上残っているチーズケーキに手をつけられなくなってしまった。
「たしかに人の心は変わるものだけど、華に対する俺の気持ちはずっと変わらないから安心して」
まるで心を見透かしたようなことを言われ、目を見張った。