独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
~樹Side~
感動屋のキミのことだ。エンゲージリングを左薬指にすべらせて愛の言葉をささやいたら、きっと涙を流して喜んでくれるだろうと思っていた。
けれど予想は大きくはずれてしまった。
大きな瞳を丸くしてキョトンと首をかしげている姿を目のあたりにし、うろたえずにはいられなかった。
* * *
華と初めて会ったのは、まだ研修医だった二十五歳のときだった。
帰りがたまたま一緒になった同期である白石誠に「飲みに行こうぜ」と誘われ、ふたりで居酒屋に行った。
ビールを飲みながらお互いの近況を報告し合い、研修医ならではの不安や不満を熱く語る。
「もう一軒行こうぜ」
会計を済ませて外に出ると、誠が肩を組んできた。
明日は久しぶりの休みのため、帰る時間を気にしなくても大丈夫だ。
「ああ、行こう」
誘いにのり、二軒目の居酒屋に入った。チーズやナッツなどの軽いつまみを口にしてハイボールを飲む。
「今年中学生になったんだけど、マジでかわいいんだぜ」
だいぶ酔いが回ってきた誠が、頬をだらしなく緩めた。